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中村:今思い返せば、最初は震災復興の取り組みをもっと分かりやすくタイムリーに報告できるようなサイトを別で設けるのはどうかという話から始まりましたね。結局復興に特化するというよりも、会社や現場で起きた、観察した大事なことを人の言葉で記録していくというイメージのものになったと思っています。

内藤:そうでしたね 今考えてみると、そこが本当のスタートだったんだと思います。

中村:うちの会社のホームページは、2011年にリニューアルして実績がとても分かりやすくなり想像以上に好評でした。地元のカメラマン松田さんにも会社の物件やスタッフが働いているありのままを撮って頂くことで、凄く親しみやすいホームページになったと思いました。特に工場や現場で働く人の姿が表に出る兆しが出たこと、それから初めて見る人にもパッと分かりやすいものになったことが嬉しかったという記憶があります。

その後、うちの会社は東北の災害公営住宅や大型の木造施設(高齢者施設、保育園、宿泊施設等)でとても忙しくなりました。僕は東北と東京を行ったり来たりする中で、それぞれ違う仕事のストーリーがとても面白くて大事だと思い、完成した物件だけでなく、依頼して頂いてから建物を引き渡すまでのこと、その後の住まい方等も言葉で伝えていくプロジェクトもあっても良いのではと思っていました。

建築の仕事は本当にあまり知らないところで大勢の人が汗をかいているのだなあと日々実感するし仕事の大小に関わらず濃密なコミュニケーションの中で完成に向かっていきます。それが既存の会社ホームページで表現することが困難になり仕事の経緯も表現できないだろうかと話になり内藤さんに相談しました。

内藤:その時は単純に現場の様子もホームページで紹介するのであれば、業務日誌というページ枠でブログを始めたらどうでしょうとお話をさせてもらいました。今よりもずっとタイムリーな情報発信もできますし、facebookページへの共有も今よりずっとスムーズ。僕も賛成でした。

中村:そうですね。ブログ、コラムのような形で人の言葉で伝えていくのは良いなあと思いました。それともう一つ伝えておきたいことがあって。。当社には初代社長のときから、おそらく20年くらい続いている「建友会」という職人さん達の集団があるんです。自分が入社してしばらくしてから、この職人さんたちの力が凄く大きいんだなあと思いました。

社内だけでなく、外との繋がりで仕事が成り立っているのだなあとだんだん分かってきました。震災直後は特に一気に仮設住宅を建てなければいけないときのパワーは物凄かったことは社内の人にも強烈に伝わっていると思います。

自分がいる「企画」という立場でこういう事実を外に伝えたり、緻密に外部の人と連携していくことを大事にしたいと常々思っていて、これまでの「建友会」はもちろん、現在様々なことで協力頂いているデザイナーの内藤さん、カメラマンの松田さん、今後新しく出会って連携していく方たちと一緒に歩んでいければ、凄く有意義な仕事をできるのではと妄想していました。会社というものでがちっと固めるより、せっかく建友会というものがあり、周りの人に恵まれているので再度そういう人たちとのゆるやかな連携の意識を自分含めてできればいいなというイメージです。内藤さんたちにも打ち合わせではいつも刺激を受けてますから。今こうして話しているだけでもありとあらゆる相談を投げてしまっていますね。笑

内藤:このお話を聞かせていただいた時は、本当ゾクゾクしました。笑 これまでホームページをはじめ、広告やコーポレートツールなどのディレクションを手掛けさせていただいておりますがヤマムラ様からのご依頼には、必ず共通するコンセプトがあるんです。それは「人」。お施主様、そしてそのご家族、職人さん達、関わるすべての人達への感謝の気持ち。大切にしたいという熱い想いが打合せの時点からガンガン伝わるんです。本当に。

そこで思ったんです。ブログで簡潔すべきじゃない。もっと掘り下げて、復興への取り組みや、現地の人々との繋がり自社を含め、業界への更なるモチベーションづくりとしてのサイトにするべきだと。宣伝や、販売色のあるクールなイメージのコーポレートサイトとは違うあたたかくて、のんびりとした「人」がテーマのヤマムラ様の新しいコミュニティサイト。すぐにサイトプランにして出さんにメールしましたよ。笑

中村:はい。プランを見させていただいたときは嬉しくてワクワクしたのを覚えています。笑 投稿を可能にし、タイムリーな情報かつ整理された状態を作れるということ、スマートフォン対応への実現に関しては自分も知らなかった部分なので驚きました。今まで分かりやすくするために整理整頓して完成したものを伝えていたものを色々な角度で現場に関わった「人」の言葉で情報化することでものづくりのストーリーを蓄えていけるといいなあと思います。

内藤:ついに始まったという感じですね。出さんと何度も夜遅くまでサイトの名前について意見を出し合った時のことを思い出します。笑 この「ゆるりと」という名前に決まるまでは本当色々な案が出たんです。でもなかなか決めきれずにいて。正直その時は、出さんも僕も行き詰っていたところもあったと思います。

不安を抱えたまま打合せの日でした。本社の真さんから「何より建友会という繋がりを、これからもずっと大切にしていきたいんです」その言葉が何だか僕にはすごく響いたんです。すぐに事務所へ戻り出さんからいただいた構想案を見直しました。「建友会」「繋がり」そして「人」。独自のブランドとして発信していくのなら、名前もオリジナルがいい。職人というイメージを崩さぬよう英語は使わず日本語で行こう。どうせならコンセプトに合せて新しく漢字をつくってしまおうと考えたんです。それをもとにデザイン化したプランを提案させていただき、即決定となりました。今後も立ち上げた特設サイトゆるりとのメンバーは増え、連携できればと思っています。「人」をテーマに、シンプルで、なにより伝わるサイト。

中村:自社サイトのリニューアル、会社案内のリ・デザインもやって頂いた内藤さんだから今回のような奇跡的なサイト、名前ができたように思います。これからの記録、情報発信、書き込みが肝心だと思うので、責任持って楽しんでいければ良いと思っています。

内藤:ほんとに楽しみです。このサイトを立ち上げると決まってからは、興奮して夜も眠れませんでしたよ。笑

中村:いいですねーそういう衝動。笑 ありがとうございました。また宜しくお願いします。

内藤:こちらこそ ありがとうございました。

(写真:松田スタジオ)

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