今日は、個人的に、今でも影響を受けている歴史的建造物に関して書きたいと思い
大学で調査を始めた頃から今までのことを記録してみました。懐かしいけど新鮮。
大学3年の後期から大学院を卒業するまでの約3年半、
工学院大学の後藤先生の研究室で全国各地の建物の調査に参加させて頂きました。
歴史的な建物を調べるというのは本当に面白くて、まとめるのはとても大変なことでも
あった。建物の中に入り込んで間取りを描いたり、様々な部材、部材間の距離を測って
図面をつくっていく。断面図を描くときは、天井が開くところをみんなで探して小屋裏に
入り込んで小屋組の絵を正確に描いた。間違って怒られることも多々あった。
でも、徐々に小屋裏を見て初めてその建物の構造が分かるという感覚も出てきて
面白くなった。そして、自分たちだけが知る秘密基地のような感覚もあって
小屋裏に入るのは一つの楽しみでもあった。棟札を見つけた人はヒーローだった。(笑)
また調査先の民家がまだ住んでいるお宅であれば、住まい手に代々受け継がれてきた
歴史の聞き取りをする。各地で話される方言、風習が地域によって違うのも面白かった。
歴史的建造物は見れば見るほど奥が深く、気づいたらその家の歴史に深く入り込んでいる。
本当に聞いていいのかなということもあるので、覚悟が要る作業でもあった。
卒業した当時も本当はもっとやりたかった。
毎回の調査先が違うし、同じ家、空間、建物は何一つ無い、年代によっての特徴、
地域によっての特徴も違う。民家、洋館、神社、お寺、工場、それから町並みの調査もあった。
毎回違う建物、空間の中に入って見ることがどんどん楽しくなっていった。
とにかく今でも、自分の場合、作るより先に、好きなだけ見たい、体感したいという
気持ちが先行してしまう。社会人になって大分経つ今でも、まだ、憧れの感覚がある。
いつか建物の保存で地元にも関わってみたいな。と漠然と思っていた。
それを、いよいよ行動に移すために先生に相談に行ったのは2010年のことだった。
建物は、高校のときから眺めたり、写真を撮ったりしていた「蚕糸試験場」と呼ばれる
建築物だった。
まだ季節は早いですが松田スタジオさんの冬の写真がとても好きだったのでのせさせて
頂きました。